お産の家　明日香医院－大野明子の著作など

最後に私の個人的体験をお話しします。わが子は、8ヶ月のとき、麻疹にかかってしまいました。8ヶ月ですから、まだ予防接種は受けていませんでした。私は、まだ医学を学ぶ以前の、シロウトの母親でした。もう16年も前の冬のことですが、ぐったりとつらそうな子どもを看ていた記憶、初めての大病の記憶は今でも鮮明です。

ある日突然、高熱が出て、子どもがぐったりしました。小児科に連れてゆくと、麻疹かもしれないと言うことになりました。再発熱の頃、口腔内にコプリック斑という小さな白色の斑点が出るのが典型なのですが、これもありました。麻疹の診断に間違いはありませんでした。

そのお医者さまによれば、麻疹としては軽症ということでしたが、状況はそれでも十分に重症でした。ぐったりして、離乳食はまったく受けつけなくなりました。機嫌は悪いけれど、ぐずる元気もありません。それでもおっぱいだけはなんとか飲んでくれて、絶食や脱水にもならず、母乳であることのありがたみを痛感しました。

感染経路は、おそらく、当時定期的に通院していた桶谷式の乳房手技の治療室だろうと思われました。それ以外に子どもを連れて人混みに出かけた記憶はなかったし、潜伏期間も一致していました。そこはいつも混んでいて、2時間待ちくらいは当然、赤ちゃんだけでなく、上の子どもたちも一緒に小さな部屋で待っていましたから、潜伏期の子どもがひとりいたら、抗体を持たない子どもたちのほぼ全員に感染していたのではないかと想像します。

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