明日香医院
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予防接種の話
第1回 予防接種を受けた方がいいですか
第2回 麻疹(はしか)
第3回 インフルエンザ
第4回 水痘
第5回 風疹(1)
第2回 麻疹(はしか)
あすかネット会報 18号, 15-16ページ, 2003

麻疹の予防接種は、必ず受けましょう。これからその理由を説明します。

麻疹は、一般に「はしか」とも呼ばれます。麻疹ウイルスの飛沫感染によって起こります。麻疹は、感染力が大変強いため、ワクチンを受けない限り、一生に一度は必ずかかると予想される重い病気です。

感染すると、10から12日の潜伏期間を経て発症します。主な症状は、発熱、せき、鼻汁、眼脂、そして発疹です。最初の3〜4日間は38℃前後の熱が出ます。いったんおさまりかけたかと思うと、また39〜40℃の高熱に加えて発疹も出てきます。高熱は3〜4日で解熱し、次第に発疹も消失します。その後、しばらく色素沈着が残ります。

麻疹は怖い病気です。なぜなら、合併症を併発し、重症化することがあり、まれに死に至ることもあるからです。主な合併症として、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎などがあります。患者100人中、中耳炎は7〜9人、肺炎は1〜6人におこります。
もっとも怖ろしい合併症である脳炎は、2000〜3000人に1人の割合で発生します。1歳未満の乳児や、免疫力の低下している病気の子どもでは、重症化する可能性がより高いので、注意が必要です。

さらに、約10万例に1例程度の割合で、亜急性硬化性前脳炎(SSPE)と呼ばれる慢性に経過する脳炎が発生します。麻疹罹患後、10年から15年経過したのち、中枢神経に重症な異常をきたします。
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