明日香医院
おっぱいの話

赤ん坊をおっぱいで育てたいというのは、母となったひとたちのほとんどが願うことでしょう。あたりまえに産むことを目指した人なら、なおさらだと思います。

子育ての一番最初、つまり、人間として、いきものとして、あたりまえに育てることの第一歩は、おっぱいから始まります。

こういうことを書くと、「そんなことを言ってもおっぱいが出ない人はどうなるの、どうするの、おっぱいが出ない人がかわいそう」という意見が出てきそうです。「最近の粉ミルクはとてもよくなっているので、おっぱいが出ない人も大丈夫ですよ」と書いておくのがふつうです。確かに一般的にはこれは正しいし、無難な答えです。

けれど、お産とその後のケアさえ間違えなければ、本当は「おっぱいが出ない人は、ごくまれ」なのです。どれくらいまれか、というと、私たちの経験からは100人にひとりいらっしゃるかどうかくらいにまれです。ですから、ほとんどの人はおっぱいが出ます。

おっぱいで育てる秘訣は、可能な限り自然な形でお産をすることにあります。つまり、身体の生理を大切にしてお産をすることが、まずスタートです。それから、赤ちゃんが生まれたら、ずっとそばにいて、赤ちゃんがほしがるたびにおっぱいを吸わせます。

お産後にひとりで頑張るのは大変ですから、適切なケアは助けになりますし、とくに最初のお産では、ていねいなケアを必要とするかたがほとんどです。明日香医院では入院中から退院後へと継続して、助産師がお世話します。

生まれつきおっぱいを吸うのが上手な赤ちゃんもいますが、あまり上手でない子どももいます。お母さんの乳首を十分深く口に含み、力強く吸ってはじめておっぱいは湧いてきます。まず、赤ちゃんがおっぱいを上手に吸えるようになるように、そして、お母さんは上手に吸わせられるようになるように、赤ちゃんがお腹をすかせて泣くたび、根気よく練習します。これが一番大切です。

このほか、乳房全体を刺激して分泌を促したり、赤ちゃんが吸いつきやすいよう乳頭をマッサージして柔らかくしたり、乳管の開通を手助けしたり、あるいは張りすぎのおっぱいの搾乳をしたりなど、必要に応じてお手伝いします。おっぱい以外に水分を補給するときも、哺乳びんの乳首を生まれたての赤ちゃんに刷り込まないために、スプーンで少しずつ飲ませます。赤ちゃんはびっくりするほど上手に飲むことが出来ます。非常にまれな場合以外、粉ミルクは一切飲ませません。

母子のおっぱいの練習は、生まれた直後から始まります。最初の2、3日、さらに最初の1週間はとても大切です。お産後の入院期間中、新生児室に赤ちゃんを預かり、定時の授乳以外は、哺乳びんで粉ミルクを飲ませておくやり方は、残念ながら今も主流ですが、最初の1週間をこんなふうに過ごしてしまうと、赤ちゃんは粉ミルクとほ乳瓶にすっかり慣れてしまいますので、そのあと、おっぱいだけで育てることが、難しくなります。そんな方向からも、お産を考えてみてください。

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明日香医院では、お産後のおっぱいケアも重要な診療項目です。これは、おっぱいを通じてお産後の育児を応援したいと考えているからです。ただし、当院の運営能力上、お産後のおっぱいのケアは、当院でお産なさったかたのみに限らせていただいております。それ以外のかたは、まことに申し訳ありませんが、お近くの専門家にご相談くださいますよう、お願い申しあげます。


おっぱいの話(あすかネット会報より) おっぱいの不思議 (神戸新聞第19回)
卒乳はいつにする?(インタビュー記事)  
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