明日香医院
安産に必要なこと
ご妊娠おめでとうございます。新しいいのちをみずからの身体の中に宿すことの誇らしさ、嬉しさ、そして幸福を、こころからお祝い申しあげます。本当にお幸せですね。何度でも繰り返し、おめでとうと申しあげたいです。

ところで、「妊娠できるなら産めるはず」「お産は自然なこと」とはいえ、現代の東京で暮らす私たちの生活は、自然とはほど遠いことも、残念ながら、また事実です。ですから、自然な陣痛で順調に進むお産、そして赤ちゃんが元気に生まれてくるお産、すなわち 安産のためには、それなりの努力が必要です。

それはどんな努力かというと、自然なお産を可能にする身体と心を作る努力です。東京にあっての擬似自然生活、あるいは、現代の妊婦らしい自然生活とも、言い直せるかもしれません。

努力の要点は運動と食事が2本柱です。

運動は、なんといってもお散歩がおすすめです。初産婦さんの場合、1日3時間、しっかり歩いてください。経産婦さんの場合も、最低1時間は歩いてください。

最初は、3時間がつらいかもしれません。どうぞ、できるところから始めてください。毎日歩いているうちに、軽々と歩けるようになります。歩く速度も速くなって、遠くまで行けるようになります。身体が軽く調子がよくなって、歩くことが楽しくなります。身体もしまってきます。こうなったらしめたもの。安産はほぼ約束されたようなものです。

歩くことは、赤ちゃんにもよい効果をもたらします。身体全体の血行がよくなることによって、子宮へも酸素や栄養分に富む血液がたっぷりと流れ、お腹の中から元気で、陣痛にともなうストレスなどものともしない丈夫な子どもになります。

また、お散歩には思わぬ効用もあります。歩きながら街や自然を観察するうち、季節が移り変わり、街中にもしっかり自然が息づいていることに気づきます。そして、私たちもまた、自然の中で生かされていることがわかるでしょう。

というわけで、妊娠初期から、しっかり歩きましょう。

次に大切なのは食事と体重のコントロールです。私たち日本人の体質が求めている和食を基本に、1日3食をしっかり食べ、けれども食べ過ぎない注意が必要です。

体重の増えすぎは、赤ちゃんが大きくなりすぎ、また、産道にも脂肪がたくさん付きますから、難産のもとです。体重増加は、もともと太っていないかたで8から10キログラム程度がのぞましいと考えます。もともと太めのかたは、それ以下におさえていただくようお願いします。

初めての出産の場合、不安やわからないことがたくさんあるのは、仕方のないことです。また、妊娠は自然なことですから、当然ある確率で異常も起こりえます。私たちは産む人とともに、精一杯防戦に努めますが、とはいっても、産科医や助産師のできることはたかがしれています。なるようにしかならないし、なるようになるのは、悪いことではありません。

どうか精一杯の努力をなさったその上で、自分の身体の変化のありのままを受け容れ、生まれてくる子どもをありのままに受け容れ、いのちをはぐくむ日々を楽しんでください。おなかの赤ちゃんを慈しみ、待ち望み、妊娠の日々をいとおしんで過ごしてください。

私たちはそんなあなたのパートナーとして、とことんおつき合いをさせていただく所存です。
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