明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > いのちを産む
いのちを産む
第1回 小さなお産の家
第2回 お産の姿勢
第3回 分娩台はいらない
第4回 起きあがって産む
第5回 200人の赤ちゃん
第6回 お腹を切らずに産む
第7回 帝王切開の理由
第8回 安産法
第9回 自然分娩へのプロセス
第10回 破水と誘発
第11回 陣痛誘発
第12回 サンタさんの贈りもの
第13回 妊婦と旅行
第14回 妊婦の御法度?
第15回 陣痛促進
第16回 お産とお風呂
第17回 産めるのかしら
第18回 不安の解消法
第19回 おっぱいの不思議
第20回 助産婦の仕事
第21回 産科医の仕事
仰向けのお産は、職業的産婆の登場とともに始まりました。日本にはまずドイツ産科学が輸入され、ついで第二次世界大戦後、アメリカ産科学が輸入されました。また分娩場所も、昭和30年代を境に、家庭から助産院や診療所などの施設に移りました。さらに現在ではより安全を求めて、大きな施設へ、つまり病院分娩が主流となっています。

当初、分娩台は、画期的な発明だったのかもしれません。一律に台にくくりつけて仰向けにすれば、赤ちゃんが出てくる様子の観察は容易になります。会陰切開などの処置や、鉗子分娩、吸引分娩などの手術的分娩もやりやすくなります。

けれども、仰向けのお産ばかりになってしまった現在、それはほとんど慣習といってもいいのかもしれません。多くの産科医療者は、お産は分娩台の上でするものという教育を受け、分娩台以外のお産を知りません。

この流れを変える動きが近年出てきました。分娩台があると便利な処置は、すべて異常のための処置です。けれども、仰向けのお産はお産の生理に反していますから、かえって異常を作っている可能性もあります。起きあがって産むのは本来あたりまえのお産の姿で、コロンブスの卵のようなものでしょう。
3 / 3   第4回 起きあがって産む

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