明日香医院
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予防接種の話
第1回 予防接種を受けた方がいいですか
第2回 麻疹(はしか)
第3回 インフルエンザ
第4回 水痘
第5回 風疹(1)
けれど、妊娠初期に風疹ウィルスに感染したからといって、必ず胎児感染が起こるわけでもなく、感染しても必ずCRSを発症するわけでもありません。現在では、臍帯穿刺で胎児血を採血し、胎児感染の有無を検査することもできます。妊娠中に感染が疑われる場合も、すぐに人工妊娠中絶などと短絡的にお考えになってはいけません。

母体にあらかじめ免疫があっても、風疹に再感染することはあります。この場合、きわめてまれですが、ワクチン接種を受けていても風疹抗体が低い場合、CRS児の報告例があります。

過去の風疹流行時には、CRS児の出生が集積し、また、とても残念なことですが人工流産・死産が増加しました。すなわち妊娠中に風疹感染しただけで、中絶に踏み切るケースが年間数千例にのぼったと推定されています。

風疹の再流行
平成15年末より16年にかけて、群馬県、大分県、鹿児島県、宮城県、埼玉県などで風疹の地域流行がみられます。数例のCRS児の発生も報告されています。厚生労働省も急遽、風疹の流行、CRSの発生、そしてこれがワクチン接種によって防ぐことができるという情報の周知を求める通知を各方面に出しています。

このような流行の理由はなぜでしょう。この背景には風疹流行と予防接種の歴史があり、その結果、接種を受けていない年齢層が出産年齢となっているからなのです。
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