明日香医院
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予防接種の話
第1回 予防接種を受けた方がいいですか
第2回 麻疹(はしか)
第3回 インフルエンザ
第4回 水痘
第5回 風疹(1)
麻疹の予防接種は1978年に定期接種になり、現在では約9割の子供がワクチンを受けているが、それ以前は任意接種であったため、約3割程度しかワクチンを受けてなく、この世代が出産年齢に達してきて、今問題となっている。大阪の大学生(22,23歳)の抗体価調査では、約30%が陰性であったと報告される。また、最近行われた妊婦や赤ちゃんを取り扱う周産期センターの職員の調査では、約1〜2%が抗体陰性であった。

幸い、麻疹にはワクチンという方法があるので、妊婦前に感染の既往や抗体の有無を確認し、免疫がなければワクチンを受けておくことで妊娠中の感染を防止できる。また、家族の既往歴を確認し、麻疹にかかったことのない人は早くにワクチンを受け、家族からの感染の危険を取り除いておくことが大切である。

高知県の麻疹データによると、麻疹に感染した人の9割はワクチンをしていなかったが、1割はワクチンを受けていた。しかし、その半数が10〜34歳で、その時期には抗体価が低下していると考えられる。しかし、ワクチン接種者は罹患しても軽症で済む。麻疹ワクチンは1歳から7歳までの間に接種することになっているが、この年齢に関係なく接種しても医学的には問題はない。また、麻疹抗体が陽性であってもワクチン接種による副作用はないとされている。

妊婦が麻疹にかかると、
  1. 非妊婦女性に比べて肺炎、脳炎など重症化しやすい。
  2. 流早産しやすい。3割が流早産し、しかも90%は母体発疹出現から2週以内に流早産になる。
  3. 妊娠中に麻疹に罹患した場合、風疹のように先天奇形を生じる率は低い。
  4. 抗体のない母親から生まれた新生児が1、2歳までに罹患すると重症化することが多い。
  5. 1978年前後に生まれた人のワクチン率が低い。
ことが分かっている。
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