明日香医院
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予防接種の話
第1回 予防接種を受けた方がいいですか
第2回 麻疹(はしか)
第3回 インフルエンザ
第4回 水痘
第5回 風疹(1)
水痘の抗体のない妊婦さんはおそらく10%以下とまれですし、もちろん私は先天水痘症候群も新生児水痘も臨床経験はありません。ですから、実際のリスクは高くないと考えてよさそうです。けれど、そういう可能性がある以上、日々の診療では対応の必要な事態が頻発します。

たとえば「上の子どもが水痘を発症した」「予防接種をしていない上の子どもが、水痘発症直前の子どもと接触していた」などの理由で「大丈夫か」の問い合わせがしばしばあります。妊婦さんご自身の水痘罹患記憶があいまいな場合、大丈夫とは言えないので、以下のように対応します。

まず母体の抗体の有無を検査し、抗体があれば問題ありません。抗体がないときは、水痘抗体価の高い人から作られた特殊なグロブリンを24〜96時間以内に緊急投与することがのぞましいとされていますが、日本ではこのグロブリン製剤が市販されておらず、代替品を使用することになり、効果についてもあまり期待できないとされています。また、抗体検査に最短2日かかり、グロブリンの入荷までにも時間がかかるので、時間的にも厳しい状況になります。年末年始や週末のご相談には非常に困りました。

そんなわけで、そのような事態を未然に防ぐためにも、次の妊娠を考えておられるときは、上の子どもへの予防接種をおすすめします。また接触後72時間以内であれば、緊急の予防接種によって発症予防が可能だとされています。
3 / 3   第5回 風疹(1)

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