明日香医院
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細々お産をやっています
大野 明子(平成5年卒)

6月中旬にNHKラジオのインタビュー番組に出演したところを、加藤真司同窓会会長が、たまたま聴いていてくださっていたとのこと。そのきっかけから寄稿の機会をいただき、大変光栄に思います。

愛知医科大学には編入生として5年間お世話になりました。それ以前は東京大学の理学部化学科を卒業、そのまま、大学院修士・博士と進み、地球化学を専攻しました。同位体地球化学と呼ばれる分野で、火山や温泉のガスに含まれるマントル起源物質を探る仕事をしていました。

博士号を取得後、妊娠・出産・母乳育児をする過程で、自然なお産と母乳哺育を支援する産科医になろうと決心しました。とはいえ、すでに1月下旬、進学のあても準備もないまま大急ぎで調べたところ、愛知医科大学の願書の締め切りに間に合い、お世話になれることになりました。よいご縁をいただいたことに感謝しています。

実家から電車で片道2時間、高速を使って車で1時間半の道のりの通学は、大変でした。授業は休まず出ていましたが、しばしば、睡眠学習となりました。クラブ活動にも参加することなく授業が終われば帰宅する日々でしたが、それでも編入のお仲間をはじめ、こころよくお付き合いくださった学生の皆さまに感謝しています。先日、名古屋で開かれた同窓会に出席させていただいたところ、私のノートでカンニング・ペーパーを作り、そのお陰で通った試験もあって感謝しているとお話くださったかたがあり、とても嬉しかったです。

当時の私には、2度目の大学であるとか、ふつうなら働いているのにとか、お留守番している子どもがかわいそうとか、家族に迷惑をかけているとか、さまざまな肩身の狭さやつらさがありました。そういったものが、愛知医科大学のおだやかで明るい学風で救われていたように思います。

卒業後は東京に戻り、5年間の勤務医を経て、現在は、杉並区で産科診療所明日香医院を開業し、細々ながらお産に取り組む日々です。同じく細々書きものをすることもあり、2月に学研より「いのちを産む」を出版しました。お近くに同窓のかたがありましたら、お声をかけてくださいませ。

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